ヒルクリアムの最大のポイントはできるだけ変化を避けることをです。
心拍数の変化、フォームの変化、ケイデンスの変化など。これらはすべて急激な疲労につながりタイムが遅くなる原因になります。特に大会は周りに惑わされてオーバーペースになって自滅しがちです。
いいタイムが出せるのはコース全体で「パフォーマンスの積算」が最大になるときです。
マラソンでもそうですが、序盤に頑張りすぎると後半にがくんと落ちます。この結果、全体を通しての「パフォーマンスの積算」が小さくなります。イーブンペースが一番早いです。
このパフォーマンスの指標になるのが心拍数です。つまりパフォーマンスの積算は心拍数の積算でもあります。
心拍数は一度限界値付近まで上がってしまうとその後がくんと落ちます。
イーブンペースを維持するために最大心拍の65%〜85%の間を維持します。
しかし、その日のコンディションによって危険水域は変化します。調子のよっては最大心拍から10拍ぐらい下がる日もあります。なのでスタートの5分ぐらいは当日の調子を見極めるために使いましょう。さらにコースの長さによっても維持できるペースの上限も変わります。自分との対話が必要です。
体の調子やコースによって心拍数の限界値は細かく変わりますが、イーブンペースでパフォーマンスの積算を最大にするという原則は変わりません。
フォームも変わらないようにします。
ヒルクライムは呼吸が楽になるように上半身を起こして走ります。
手はハンドルの上にそっと置くだけが理想です。上りこそ上半身の脱力が大切です。
肘も力は抜きますが、脇を締めるように意識して空気抵抗を減らします。後ろから見ると肘が体に隠れているのが理想です。
傾斜がきつくなればなるほど重心がきちんと自転車の中心にないと手で体を支えないといけなくなるので上半身に無駄な力が入ります。傾斜がきつい時は重心の位置が後ろに下がってしまうので上半身を前傾させて重心を前へ移動させます。
サドルにお尻を載せる位置を調整することで重心の位置も調整します。
ケイデンスは一定にします。勾配は常に変化しますが、これに合わせて細かくギアを変えます。勾配がきつくなればすぐにギアを下げ、勾配が緩くなったらすぐにギアを上げます。
呼吸はケイデンスに合わせて行うと乱れにくくなります。例えばペダル一周するのに合わせて吸う、吐くのサイクルを一回行うなど。ケイデンスが一定なら呼吸も一定になります。
ダンシングをするとフォームが変わるのでなるべくしないほうがいい。
オーバーペースになっていた時は大胆にペースを下げます。タイムが遅くなるのが怖いですが、一旦最大心拍数の20拍ぐらいは下げてここから体と対話して少しづつあげていきます。