◆ 行く山の名前、登山形態、地図、日程を記載します。
◆ 交通手段 公共交通機関 利用する公共交通機関を書きます。
電車なのか、バスなのか、タクシーなのか。
何時発に乗るのか、時間はどれぐらいかかるのかを調べます。
私は料金がいくらなのかまで書きます。
駅、バス停または駐車場から登山口までのアクセスも調べておくと迷わなくて済みます。
バスの時刻表は入下山予定前後の時間も計画書にメモしておくと時間がずれても安心です。
バスは季節や曜日限定の運行もあるので注意が必要です。
秋になるとバスなどの運行本数も少なくなることが多いです。
タクシーを呼ぶ場合はタクシー会社の電話番号も書いておきましょう。
泊りの場合は温泉の場所とアクセスもあらかじめ調べてメモしておくと便利です。
携帯の電源を切るのを忘れてバッテリーが少ない状態でも安心です。
車
自家用車を利用する場合は誰の車で、車種、色、ナンバーを書きます。
例)自家用車(○○車6人 TOYOTA VOXY ホワイト 多摩XXX あ XXXX)
登山口付近に車を止める場所があるのか駐車場の有無も確認しておきましょう。
駐車予定の場所も記入しておきます。
レンタカーはどこのお店でどの車種の車を借りるのか書きます。
◆ 参加者情報
役割、氏名、生年月、血液型、住所、緊急連絡先/携帯 のすべてを書きます。
リーダー、サブリーダー、会計、食当など メンバーが3人以上のときはサブリーダーが先頭を歩き、リーダーが最後尾を歩くのが一般的です。 沢はリーダーが先頭を歩くことが多いですかね。
先頭は地図を見ながら道を確認し、リーダーがグループ全体を見ます。
テント泊の時は食当を決めておくと準備段階の仕事を分散できます。
◆ コースの特徴を把握する
まずコースの特徴を把握します。
標高、標高差はどれぐらいか? 樹林帯なのか岩稜帯なのか? 鎖場やはしごの有無、道迷い注意箇所の有無、転落・滑落危険箇所の有無、沢の徒渉、通過の有無、雪渓の通過の有無。
さらに登山中は 落石、火山噴火、危険な野生生物、鉄砲水、落雷、低体温症、凍傷、雪崩・崩落 の危険があります。過去の遭難事故事例なども調べておくと安心です。
金沢県の白山の里山には地元の人がオロロと呼んでいる小さいアブがいます。
こいつは強烈です。
数も多くて容赦なく噛み付いてきます。
このようなことを知らないで対策していかないとひどい目にあいます。
ただ、私もそうだったのですが事前に何度も注意されてたんです。
でも何も対策していかなくてひどい目に合いました。
これを言葉であぁ〜読んでいてその通りだなと思った小説の表現があったので抜粋して紹介します。
危機感は頭でわかっていても意外に実感を伴なわないものだからね。
自分は大丈夫だと思っちゃうんだ。
頭では危険だとわかっていても本当の危機は感じてない。
それほど危険じゃないだろうとタカをくくって、危機は段階を踏んで訪れると思い込んでしまう。
想像はしていてもそれが現実に起きるとは思っていない。
でも実際は違います。段階を踏まずに突然来ます。
痛い目に合わないと誰だってそれを認められない。
「世の中の不幸の大半は誰かがタカをくくっていたことが原因なんだってば」
小説「グラスホッパー」より
行ったことある場合
一度登っていればどんなコースかわかるのでイメージしやすいと思います。
しかし、何度も登っているからといって油断してると痛い目にあうこともあります。
・登山道が整備中でいつもの道が通れない。
・トイレや水場の状況、公共交通機関の運行状況など。
・バスの時刻表が変わっていた。
などの重大な情報を知らないと計画通りにいかなくなって焦ることになります。
行ったことない場合
登ったことがない場合は地形図、地図あるいは本、 ガイドブック、ブログなどの写真から判断します。
インターネット(ブログなど)で手軽に情報が手に入るようになりましたが個人の主観が色濃く出るのであまり信用するのはよくないです。 ブログはどんな人が書いているかもきちんと把握する必要があります。 自分が歩いたことがあるコースの記録を読んで自分と対比すれば書いた人の体力と技術が想像できます。
本やガイドブックは必要な情報が詳しくまとめられているので便利ですが最新情報でない場合もあります。 信頼度が高いのは山小屋です。山小屋には登山者からの情報も集まります。 通行止め、登山道の様子、水場、天候、花の開花時期など。 電話で問い合わせるときは宿泊客の対応で忙しい時間帯(朝夕や夜遅く)は避ける配慮が必要です。
山岳会に入っているとお互いに顔も実力もわかっているので、さらに信頼度が高い情報を聞くことができます。 いろいろ調べても登ってみないとわからないことがほとんどです。
◆ 行程を考える
1日の行程を考える前に登山では「早立ち、早着き」という原則があります。
山の天気は一般的に午後になると悪くなります。
特に夏は朝が快晴でも午後になると雷雨になることも少なくありません。
この原則を踏まえた上で昭文社の地図に書かれているコースタイムを参考に何時から何時まで1日何時間行動するのかを考えます。
下記は昭文社の地図に書かれているコースタイムの条件です。
(ア) 40~50歳の登山経験者
(イ) 2~5名のパーティー
(ウ) 山小屋利用を前提とした装備
(エ) 夏山の晴天
実際は年齢、体力、経験、人数、装備、季節、気候などの条件で歩くはやさは変わってきます。
コースの特徴と参加するメンバーの体力をきちんと把握し余裕を持った時間を設定します。
事故統計で日帰り登山は午後2時。
登山全般では全行程の四分の三の下りに事故が集中しているそうです。
6時間の行程なら4時間30分から6時間のあいだということになります。
計画に余裕がある場合は事故多発時間帯に危険箇所を通らないようにしたり休憩を入れて一息つくのも安全に下山するために有効だと思います。
天候悪化などの不安要素がある場合はリミットを考えておくことも大切です。
あらかじめ決めた時間になったら何があっても引き返 すという判断も重要です。
いざ山に入ってしまうと今回を逃すと次はいつ来れるかわからないと思いがちです。
特に遠かったり厳しい山行ほどこの傾向が強いと思います。無理したことによって”次の機会”を永遠に失うことだってありえます。
山は逃げません。
◆ 集合場所・時間
何時に集合するかは行程と登山口までのアクセスにどれぐらい時間がかかるのかによって決まります。 車の場合渋滞に引っかかると遅くなるのでなるべく早めに集合した方がいいです。
◆ エスケープルート
エスケープルートは山行中に体調を崩したり天候が急変して登山を中止する場合より早く下山あるいは山小屋などの安全な場所に戻るためのルートです。
もしものときに備えてなるべくはやく安全な場所へ下りれるルートを見つけておくことは計画を立てる上で欠かせないことです。 想定外な事態ということは心に余裕がない状態です。事前にエスケープルートを設定しておかないといざというときに焦って正しい判断ができない可能性もあります。
エスケープル ートはスタートからゴールまでの間に適度な間隔で適度な数があること岩場など事故の起きやすい場所は避けて簡単で短時間で下りれるルートは選びましょう。
エスケープルートはパーティーで共有します。
アクシデントは誰にでも起こります。
リーダーにアクシデントが起こって他のメンバーがエスケープルートを知らなかったら惨事になりかねません。メンバー全員が地図、コンパスを持つのはもちろんですが、計画、ルート、日程、エスケープルートはきちんと把握しているべきです。
どんな山の事故も最後は自己責任です。
エスケループルートが書かれていれば遭難時にそのルートも救助隊の捜索対象になります。
エスケープルートは自分で安全を確保する『自助 』と救助してもらう『公助』の両面で有効です。
エスケープルートから下りたときの交通手段も調べておくとさらに万全です。
苦労して下りてもどうやって帰るかわからないということになりかねません。
◆ 装備
持っていく装備を書きます。
持っていく装備は山の中でしっかり使いこなせなければ意味がありません。
持っていく装備がいつ、どこで、どのような状況で、どう使うのかを理解していることが大事です。
正しい使い方を知らない装備を使うと事故につながるので危険です。
それなら荷物が重くなるだけなので持っていかない方がいいです。
使い方を知っている人がパーティーにいれば役に立つこともあるかもしれません。
防寒着や緊急装備などの有無は捜索計画を立案の参考にもなります。
単独で行く場合は、その日着るウェアの特徴(色など)やザックの色を書いておくといざというときに発見される可能性が高くなります。
個人装備
共同装備
補助ロープやテントやコッフェルなどがあります。
私たちもロープは持っていきますが、お守りのようなもので使うような状況にならないようにすることが大事です。
ここでまた少し話が変わりますが、
2015年1月28日に日帰りで奥多摩の本仁田山へ行った男性2人が転落死する事故が発生しました。
道に迷って彷徨っていたら天覧山で登ったような高さ10mほどの岩壁の上に出たそうです。
岩壁の下には奥多摩駅周辺の家並みが見えてもう少しで不安で不安でしょうがなかった道迷いから脱出できます。
あなたならどうしますか?
彼らは崖の下に街並みが見えてここさえ下れれば助かると思って岩壁を降りようとして転落死しました。
ロープを持ってるがゆえに下りようとして滑落。
このパターンの事故は非常に多いです。
地図読みのときにも言いましたが、違和感を感じたらすぐに引き返さないといけません。
◆ 下山連絡
いつ、何時までに誰に下山連絡をするのか書きます。
少しのアクシデントで守れなくなるような余裕のない時間を設定してないようにします。
下山連絡を頼んだ人には山行計画書を渡しておきましょう。
山の名前だけ伝えてもほとんどの山にはいくつもルートがあるためどこを探していいのかわかりません。
下山予定時間までに連絡がなかったらどのようにすればよいかを具体的に伝えておくことも大切です。
計画書をどこの警察に提出したかも伝えておきましょう。
山をやったことがない人に連絡がなかったら警察に電話してと言われても困ります。
・計画書の内容を確認する
・山岳会に属している場合は計画書に書かれている緊急連絡先の人に電話して相談する
・警察に電話する(登っている山域の警察署がベストですが、110番でもいいと思います)
・警察または山岳会の人たちの指示に従う こうしておけば万が一連絡の取れないよう場所で遭難あるいは怪我で動けなくなっても正確な情報が警察に伝わるので迅速な救助がおこなわれ適切な処置が行われます。
電波が入るエリアで途中経過をラインやらメールしておくといざというとき捜索箇所を特定しやすくなります。
無事に下山したら連絡するのを忘れないようにしましょう。
最近は登山者をサポートしてくれるシステムも増えてます 。
日本山岳ガイド協会の「コンパス」や日本勤労者山岳連盟の「ROUZANパートナーズ」など作成した計画書を届け出ることができて下山予定時間を過ぎたら家族などに知らせてくれるシステムもあります。
コンパスは長野、岐阜、神奈川、静岡、山梨、新潟、鳥取、北海道、群馬、京都の警察とも連携していて遭難した時に捜索または救助活動にコンパスの情報を活用できるようになってます。