下山したら次の山行も安全に下山するために振り返りを行いましょう。
無事に下山したらパーティ内でヒヤリ・ハットの有無を確認します。
ここからの説明は『全豊田安全衛生研究会 作業責任者テキスト』に書かれている内容です。
私は職業柄お客さんの現場に入るので安全衛生教育を受けさせられます。
前は教育を受けてなくても入れたのですが最近はお客さんのところでも死亡事故が1年に数件発生していて安全に対する意識が高くなりました。
ヒヤリ・ハットって何?
日常生活や仕事の中で誰もが経験している事故や災害にならなかったけれどヒヤリとしたりハットしたりしたことを『ヒヤリ・ハット』と呼びます。
これを職場や作業の安全確保に役立てるのがヒヤリ・ハット提案です。
なぜヒヤリ・ハット提案が安全確保につながるかというとハインリッヒの法則というものがあるからです。
◆ ハインリッヒの法則
重傷1件に対してこれが起こるまでに29件の同種の軽傷があり300件もの怪我にならなかった経験(ヒヤリ・ハット)があるという法則です。
ヒヤリ・ハットをなくすことで30件の災害を未然に防ぐことができるというわけです。 ヒヤリ・ハットも貴重な災害情報なので怪我と同様に原因をよく掴んで同種のヒヤリハットが発生しないように改善することが大切です。
◆ どんなものがヒヤリ・ハットとして取り上げるか?
ヒヤリとしたハットしたものはどんな小さなことでも全て取り上げて対策しないといつか大怪我します。 もしかしたら事故につながるのではないかと思われる想定ヒヤリも積極的に吸い上げて危険予知活動の一部として推奨することも大切です。
◆ 効果的に活用するためには?
提案されたヒヤリ・ハットは無視しないようにします。
無視されたり何らかのフィードバックがないと報告しなくなります。
ヒヤリハットの取り上げに制限をかけるとポツポツ事故が発生してしまうそうです。
◆ 報告・提案の仕方
・時間が経つと忘れるので山行が終わった後で報告提案するようにする。
・報告内容は 具体的に
内容は5W1Hに基づいてわかりやすく具体的に報告・提案してもらいます。 ・記録に残す
口頭のみでは忘れて対策を打たないケースがある。 山で怪我をしたり事故を起こすのは初心者はもちろん経験者でも人間の特性として避けられないちょっとした不注意によるものがほとんどです。 「知っている、できる、そうするつもり」が実際の行動に活かされずに事故の原因になることもあります。
事故を起こした人に理由を聞いてもなんでそんなことしたのかわからないと答える人が多いです。 なので、人間の特性を理解し日頃から安全に対する意識を高める必要があります。 不安全行動には「初歩的な原因」と「ヒューマンエラー」によるものがあります。 初歩的な原因
・知識不足(知らない)
・経験不足(できない)
・意欲の欠如(やる気がない、手抜き) ヒューマンエラー
・意識の低下や迂回
疲れや体調が悪ければ意識は低下します。心配事があれば意識は迂回しやすくなります。
・注意力の変化
注意の隣には不注意があり、注意しろと言われて自然に不注意状態が発生します。
対象が多いと同時に十分な注意力は働かない(選択性)
前方はわかるが後方はわからない(方向性)
など
・近道・省略行為
人は誰しも楽をしたいと思うものです。つい面倒で手順を省略してしまいます。
・憶測や思い込み
多分こうだろうと自分勝手に判断して確認も行わない。
トヨタなどの製造現場で教育用に使われるテキストなので少々大げさな表現もありますが登山にも言えることだと思うので載せておきました。
要因分析を行う。
要因分析が不十分だと実効性の低い対策しかできません。
すでにおこったことを分析するノタメニ分析
「A」のために「B」となり「C」をした
「A」、「B」、「C」の部分に事柄を当てはめていきヒヤリ・ハットに至る経緯を文章にします。
ただし、エラー発生時の心理を考えることは大切ですが、弁護する気持ちで作成しないようにします。実効性が低い防止策につながるものを要因にしない。無い物ねだりは現実とアンバランス。
エラーが起きたか否かに関係なく人が適切に行動できない要因を「PSF」と呼びます。
PSF : Performance Shaping Factor
「PSF」がわかれば事前にエラーを防止することができるようになります。
「PSF」は日常の身近なところでも見つけることができます。
狭いところは神経を使う
道具や工具の不備は適切な作業を妨げます。
時間的な制約は焦りを生みます
指示や指導の不備は間違った判断を生みます
マニュアルや資料の不備は適切な作業を妨げます
一点集中は周りが見えなくなります
生活周期がずれると体調に影響し判断を遅らせる
紛らわしい表示
道標が見にくいために 正しい道がわからなくなり 道を間違えた